2024年北海道地理学会優秀論文賞

深田秀実・橋本雄一　2021.　マルチ・エージェント ･ シミュレーションによる 津波避難ビルへの避難行動分析―北海道釧路市中心市街地を事例として―．
地理学論集，第96巻第2号．

本研究は千島海溝周辺海溝型地震による大津波の到来が予想される釧路市の中心市街地を事例として津波避難ビルの整備状況を概観し，その有効性と課題を住民の徒歩避難に関するマルチ・エージェント・シミュレーションにより明らかにした。これまで津波防災にとっての垂直避難の有効性について数値的な検討は稀であったが，本稿は独自の技法を開発し，高い説得力を持って論じたことが高く評価される。

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方　翀博・山中康裕　2021.　大雪山国立公園旭岳における山岳遭難事故を引き起こすリスク要因と安全登山に向けた情報発信対策．
地理学論集，第96巻第2号．

本論文は，山岳遭難事故が多発する大雪山国立公園・旭岳に注目し，登山事故につながる事例やその要因を明らかにしたものであり，特に社会的にも価値の高いものである。情報をもたないインバウンド登山者の急増が予想されるなか，道迷いや滑落などへの対応だけではなく，情報発信を含めた多言語での安全登山のリスク回避に関わる研究の必要性を提示したことが高く評価される。