The Hokkaido Geographical Society


トップ  >  2008年度北海道地理学会秋季学術大会 開催
お知らせ

平成20年度 北海道地理学会秋季学術大会のお知らせ
(北海道教育地図研究会・札幌地理サークルと共催)



平成20年度秋季学術大会(エクスカーション)を下記のとおり開催いたします。
皆様お誘い合わせのうえ,多数ご参加くださいますようご案内申し上げます。



1.期 日:平成20年10月11日(土) 8:30〜17:30

2.テーマ:北後志地区の自然と産業振興−農水産業を軸として−

3.案内者:山下克彦(北星学園大学)、山内正明(藤女子中・高等学校)、高橋伸幸(北海学園大学)、金森正郎(北海道札幌東高等学校)、梅田克樹(北海道大学)

4.コース:JR札幌駅北口【8:30集合】〜(国道5号)〜

  毛無山展望地<小樽市街地を俯瞰>〜(国道393号)〜山中牧場<休憩>〜

  赤井川村役場<赤井川農業の現況について説明>【10:30〜11:00】

  〜どさんこ農産センター<生消連携のパイオニアを見学>【11:00〜12:30】〜

  ニッカ会館レストラン「樽」<昼食>【13:00〜14:00】〜

  余市市街地<旧福原漁場ほか市街地巡検>【14:00〜15:00】〜(フルーツ街道)

  小樽市街地<知られざる小樽巡検>【15:30〜16:30】〜(国道5号)〜JR札幌駅北口【17:30解散】

5.使用交通機関:貸切バス

6.参加費:500円(昼食代別途、当日徴収)

7.懇親会:大会終了後、懇親会を開催しますので是非ご参加ください。

8.申込み:下記連絡先まで,E-mail・FAXまたはハガキにて10月 3日(金)までにお申し込みください。

〒060-0810 札幌市北区北10条西7丁目 北海道大学文学研究科 梅田克樹

         E-mail:umeda@let.hokudai.ac.jp  FAX:011-706-5366

<コース概要>

余市郡に属する3町村(余市町・仁木町・赤井川村)は、いずれも札幌都心から40〜50kmの距離に位置する。札幌大都市圏(通勤圏)には含まれないものの、都市住民との間には密な交流関係が存在している。このことが、基幹産業である農業・水産業の活力を下支えている地域である。

赤井川村の(有)どさんこ農産センターは、関東地方の生活協同組合への産直を主に手掛けている。前身の赤井川産直会(1974年設立)の時代から一貫して、安全でクリーンな農産物の生産・販売を目指してきた。現在では、赤井川村と蘭越町の生産者(計29名)が、馬鈴薯(950t)・かぼちゃ(100t)・ブロッコリー(15万個)・玉ねぎ(400t)・トマト(42t)・ミニトマト(100t)・カラーピーマン(75万t)などを生産している(2006年)。また、生協組合員の「現地圃場見学会」や札幌市民との「カルデラパートナー制度」など、都市住民との交流に積極的に取り組むことによって、消費者からの信頼獲得にも努めてきた。同センターを頼って赤井川に移住し、新規就農する事例も相次いでいる。このように、生消連携によって高品質農産物の販路開拓に成功した事例から、北海道農業が切り開くべき新たな方向性を考えてみたい。

温和な気候に恵まれた余市町・仁木町は、道内随一の果樹産地として知られる。札幌市民を主な顧客とする観光農園や直売所が、数多く立地している。余市町では水産業もさかんであり、2007年の水揚げ高(14.2億円)は後志管内で第2位だった(第1位は小樽市)。道立中央水産試験場も余市町に置かれている。水産加工業も発達しており、観光客向けの鮮魚直売所や飲食店も数多く立地している。これらの基盤を築いたのは、かつて栄華を極めたニシン漁であり、その繁栄の残照を伝える歴史的建造物が数多く残されている。このように、先人たちが築き上げた歴史的基盤を礎としながらも、時代のニーズに合わせて発展してきた余市町・仁木町のすがたを観察したい。

 北後志地区における歴史的遺産の活用という点では、小樽市におけるまちづくりの事例は見逃せない。大規模な修景によって生まれ変わった運河地区が、国内外から大勢の観光客を呼び込むことに成功したことは、周知の事実である。しかし、小樽市街地の内陸部には、俗化することなく残されている歴史的建造物が数多く存在する。天狗山の裾野に残る歴史的建造物(旧遊郭や教会)を見学することによって、小樽観光を面的に発展させるための可能性を考える一助としたい。